忍者ブログ
萌えと燃えを愛する女子高生のきままぶろぐ。
[142]  [141]  [140]  [139]  [138]  [137]  [136]  [135]  [134]  [133]  [132
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ある友人に頼まれて書いた初SSです。
公開するつもりなかったけど、気が向いたので載せときます。
この世のあらゆるものといっさい関係なっしんぐ。
 



お花見

 


 

 

「あいやー、ずいぶん遠いあるなー」
「もうすぐそこですよ」

苦笑しながら答える日本とその後をのろのろ歩く中国。
春らしい穏やかな風が流れる川べりには、幾枚も桜の花びらが散らしてあった。

「さっきから兄さん文句多すぎ。日本さん困らせないでよ」
「だってもう疲れたある。腹も減ったある。」
「はいはい!俺は兄貴に賛成!早く弁当食いたいんだぜ!!」

日本の腕をとりだらしない兄を叱咤する台湾とは反対に、アイゴーと元気よく騒ぐ韓国。
いつもの賑わいを一人眺め、最後尾を黙々と歩くのは香港だ。


今日は東アジア連れだってのお花見。

日本の家では、春に“桜をみてあそびたのしむ”花見なるものがあるらしい。
これを聞いた台湾が日本をさりげなく誘ったところ、たまたま日本宅に不法侵入していた韓国にばれ、
結果芋づる式にいつものメンバーになってしまった。


「だったらもう帰れば?私は日本さんと二人きりでお花見楽しむから」

二人きり、という単語を強調した台湾に、中国の顔色が変わる。

「だっ、駄目ある!!日本みたいな馬の骨に、お前はやれねーある!」
「ああ!?今なんつったこの馬鹿兄!」
「こいつはろくでもねー奴ある!にーには湾のためを思って・・・」

必死に食い下がる中国を一瞥し、台湾は彼の胸ぐらをつかんだ。

「もういっぺん日本さんの悪口言ってみろ。鼻から指つっこんで奥歯カタカタいわせたるからな」

ドスの聞いた最愛の妹の言葉に、中国の視界がぼやける。
(あれ、なんか目からしょっぱい液体出てきたあるよ・・・)

「うう・・・にーには悲しいある・・・」
「しょんぼりしないでようっとおしい。」

台湾の兄離れは進む一方である。

 

 

 


「さて、お疲れ様でした。着きましたよ。」
「うおおおー!!」
「綺麗・・・」

そこは辺り一面が満開の桜で覆われた、少し開けた小高い丘の上だった。
桃色と白のコントラストで空が少し狭くなったような気さえする。
若い草花とひだまりに包まれた春の匂いが、胸を優しく締め付けた。

早速駆け出し、桜の起源は俺ー!と桜の絨毯の上で転げ回る韓国。
香港はというと、珍しく興味津々といった様子で舞い落ちる花びらを見つめていた。

「相変わらず見事なもんあるな。桃源郷みたいある」
「ええ、2000年前から、ここの桜だけは変わっていませんから。
私にとっては、桃源郷みたいなものです。」

感心したようにつぶやく中国に、日本は微笑みながら答えた。

「ここは私の秘密の花見場所なんです。
ここを知っているのは、皆さんの他にはぽちくんとイギリスさんくらいでしょうか」
「あの、いいんですか?私たちがそんな大切な場所に来てしまって・・・。」

心配そうに見つめる台湾に、おや、と日本は首をかしげる。

「台湾さんは、昔ここに来たことがあったでしょう?」
「え?」
「・・・まあ、覚えていなくても無理はありませんね。あんなに小さかったですから」
「覚えてるのは、我ら爺だけあるな」

互いに顔を見合わせ、苦笑する2人の年寄り国家。
自分だけ知らないことがなんだか悔しくて、台湾はほんの少し口をとがらせた。

 

 


日本の自宅から持ってきていた筵を敷き、野立て傘を立てる。
早朝から気合いを入れて作った昼食とつまみは、食い意地の張った亜細亜勢によってぺろりとなくなった。

遊び疲れたのか大の字になって寝息を立てる韓国と、彼を枕代わりに自分も眠る香港。
それを見ながら、中国持参の老酒を飲み交わす日本と中国。
台湾はというと、やめろという中国の制止を聞かず酒を飲み続け、数分で酔いつぶれていた。

「こうして二人でここにいると、思い出すあるな」
「・・・何をです?」
「いろいろ、ある」

そう言ってぐい、と酒をあおる中国を見、日本は目を伏せた。

「・・・そうですね」


初めて中国をこの場所へ呼んだのは、日本がまだ小さい、勝手にひらがなを作って怒られていた頃。
いつも自分を導いてくれた彼に、特別何かを感じたことはなかった。
でも、なぜだかわからないけれど、彼にここを教えたいとそう思った。

“菊はすごいあるなー!
こんなに綺麗な景色見たの、我初めてあるよ!”

今だからわかる、微笑んで頭をなでてくれたあの頃の彼の大きさ、強さ。


“菊さんすごーい!
こんなきれーなところ、湾初めて!”

数百年後、自分は瞳を輝かせる小さな頭をなでていた。


「・・・ったく、時が経つのははえーある」
「全くです」
「お前も、昔はにーにって呼んでたあるのに」
「呼んでません」

笑う中国にため息をつきつつも、日本はこのやりとりが嫌ではなかった。

 

ふと杯を見ると、ひらりと一枚の花弁が落ちた。

 

 

「今年も若い人たちに、あまた良きこと起こりますように」

 

 

 



 

最初はギャグのつもりだったのに・・・あれ?
駄文お目汚し失礼しました。

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人だけにコメントする。)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新コメント
[07/07 まよ]
[04/11 みるく]
[04/11 あきゅ]
[04/05 皐月]
[04/04 な]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
みるく
年齢:
31
性別:
女性
誕生日:
1992/11/09
職業:
女子高生
趣味:
あにめとまんがとカラオケ
自己紹介:
好き
甘いもの全般 かあいいもの

嫌い 
きのこ 気持ち悪い系の虫

特技
妄想
バーコード
ブログ内検索
最古記事
(05/17)
(05/18)
(05/18)
(05/19)
(05/19)
P R

Copyright © みるくいろ All Rights Reserved.
Material & Template by Inori
忍者ブログ [PR]